杉山愛姫は無限恐怖症ともいえる不安や恐れを、捻くれた形で明るく我々に作品として提示する。

例えば「Flash Back Elephant」では網状の直線が手前から伸びていくが、消失点の向こう側が地平線のように循環するのではなく無限に平坦に続いていくように感じてしまう。それはサイケ調の色彩に対して我々が持つ過剰な陶酔感のイメージとそれを嫌厭する固定観念から、この画面に対して非現実を感じてしまうからだろうか。「支配」、「権力」などを象徴するシンボルとして利用されてきた象を描くことはこの空間が巨大な力に支配されていることを暗示していると捉えることも出来る。

一説では無限恐怖症の症状は全て「死への恐怖」から来るものだと云われているが、様々な娯楽が溢れ麻痺し「死への恐怖」が薄らいでいる現代では、このような絵画はそれを我々に思い出させてくれる希少な存在なのかもしれない。

幾何学的な模様や、彩度の高い色を用いて抽象的な絵画を制作しています。「無限」「永遠」などといった私達には計り知れないようなものに恐怖を感じ、それを悟られないように画面に描くことを目標にしています。　－杉山愛姫－

2001
静岡県生まれ
2018
第66 回静岡県高校展 優秀賞
静岡県高校総合文化祭ポスターコンクール 最優秀賞
2019
高校生デザインコンテストシューズ部門 学校長賞
2020
静岡県立沼津西高校芸術科卒業
東京芸術大学 油画専攻入学