マリウス・ブルチーア「Glow of Youth」
2021/9/12 - 9/18

マリウス・ブルチーア「Glow of Youth」

Marius Bercea
oil on canvas / 160×190 / 2020
Collection(not for sale)

マリウス・ブルチーア(ルーマニア生 1979 -)は、1989年のルーマニア革命後にクルジュ=ナポカに集結した画家の集団「クルジュ派」を代表する画家の一人。

過度に装飾的な服装をした若者たちと、有り物で作り上げたような空間のミスマッチ。大きい画面にわざと平坦に塗られた絵の具は鑑賞者の遠近感覚を狂わせる。「Glow of Youth=若さの輝き」と銘打たれているが、若い情動を想起させるこのタイトルに比べ、この絵画は無機質な印象を我々に与えている。描かれた若者たちは画面の向こうの我々に視線を向けている。カメラを向けられているのかもしれない。各々が自分を良く見せるポーズを取る様(左下の彼はあの角度に自信があるのだろうか?)は確かに格好良くも映るが、背景と相まって滑稽とも捉えられる。この絵画は虚勢を張る若者たちへの皮肉とも捉えられるが、それらも包括して瑞々しさを発する彼らを礼賛しているようにも見える。様々な解釈が浮かんでくるのは、冷静に彼らのありのままを捉えた作家の目と、描き出した腕前のおかげだろう。

 

※最終日9/18(土)のみ16時迄