門田光雅「double helix 90」
2023. 1. 29 – 2. 26

門田光雅「double helix 90」

Mitsumasa Kadota
acrylic and carborundum on cotton / 130.5×107 / 2023
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「多面性」をテーマに、自身の感情や感覚の揺らぎを色彩と筆致に置き換えて、絵画表現を探究する門田光雅による一作。

画面右側は、彩度の高い色彩が、視点を一点に定めることなく奔流しながらも不思議と調和を持つ様は、本の装丁に使われていたマーブルペーパー(絵の具を水面にたらし、水面にできた偶発的な模様を紙に写しとることで作られる)を思い起こさせる。彼の持つ色彩感覚や筆致を実直に表現した結果が、水面の揺らぎような質感になっているのだろうか。画面左側も、色彩のレイヤーを重ね合わせた画面上に、葉脈のようなテクスチャーが全体にコーティングされていて、顕微鏡越しにしか出会えないミクロの世界の、非現実的な印象を抱かせる。

『double helix(二重螺旋)』と銘打たれたこの作品は、全く異なる手法で描かれた2つの表現の、一見相容れないものの結合を試みている。それは複雑に絡み合う作者の内面を、別々の角度から多面的に捉えつつ、色彩と筆致の様々な探究の中に、その統合を求めている門田の姿勢そのもののようにも見える。