2022. 4. 2 - 4. 17

松澤宥 Yutaka Matsuzawa 「松澤宥+概念芸術」

このたびボヘミアンズ・ギルドでは今年生誕100年を迎えた松澤宥、並びに彼を創始者とした「日本概念派」の作家たちに焦点を当てた展覧会を企画開催いたします。

生涯のほとんどを長野県下諏訪町で過ごしながらも、同地にあるアトリエ「プサイの部屋」において思索を続け作品を発表し続けた松澤宥。詩人として活動を始め、初期には絵画やオブジェの制作も行いましたが、1964年にそれらの活動を一切止め、文字だけを用いた「観念美術」の制作を開始。同時期に似た志向性を持つ「コンセプチュアルアート」が米国で流行しますが、松澤宥はそれより早く「観念美術」を創始したとも言われます。過去の芸術以上に鑑賞者に依拠したその作品は周囲を混乱させながらも、アートをより自由なものとするための足掛かりとしてその役割を果たし、世界的な評価を得ています。

今回の展覧会では、世界で2点しかその存在が確認されていない松澤宥のデビュー作であり原点とも言える詩集「地上の不滅」や、初期作品が多数収録された「プサイ函」など希少な品物を展示しております。また「日本概念派」の代表的な作家である河原温、高松次郎などの作品も併せて展示しておりますので、独自の視点から芸術を捉えなおし、その定義を拡張させていった彼らの作品をぜひご高覧下さい。

 

 

松澤宥経歴

1922 2月2日午前2時、長野県下諏訪町に生まれる
1946 早稲田大学理工学部建築学科卒業後、梓建築事務所入社
1949 詩集「地上の不滅」刊行  諏訪実業高校定時制下諏訪分校で数学の教諭となる(82年まで勤務)

1950
草飼稔とRATIの会発足
1952
美術文化協会展に初出
1954
美術文化協会を脱退
1955
ウィスコンシン州立大学よりフルブライト交換教授として招聘され、翌年から1957年までコロンビア大学にて現代美術、宗教哲学を研究
1964
「オブジェを消せ」という啓示を受け、物体としての作品制作をやめ、言語による作品を展開
1966
「人類よ消滅しよう行こう行こう」という言葉を生みだし、垂れ幕にして会場に展示するなどのパフォーマンスをつづける
1973
美学校・諏訪分校を開講
1988
「量子芸術宣言 芸術のパラダイム・シフト」刊行
2006
肺炎のため、長野県諏訪市の病院で死去 享年84歳

主な個展
1963
「ψによる松澤宥個展」青木画廊/東京
1966
「松澤宥万物消滅式1966」MACJ/東京
1967
「9の無のカンヴァスと9のプサイの椅子と9の超未来的方法による松澤宥個展V.1010」アヅマギャラリー京都
1969
「プサイの函」青木画廊/東京
1974
「辞世室」インパクト画廊/ローザンヌ
1977
cayc画廊/ブエノスアイレス、ブラジル
1979
「旧作の引用による新作個展」銀座絵画館/東京
1980
「芸術のための世界の土台石」ミッテルブルグ、オランダ
1982
「Nine Mandalas」メディア画廊/スイス
1983
「ψの函とそのオリジン展」岡崎球子画廊/東京
1985
「ESHIKI-RON Kasaya」ブリギッテ・マーチ画廊/シュトゥットガルト
1988
「量子芸術宣言一」岡崎球子画廊/東京
1990
「(量子芸術へ向けて)方便九」岡崎球子画廊/東京
「ツインルーム」ブリギッテ・マーチ画廊/シュトゥットガルト
「EXPEDIMENT 9」ブリギッテ・マーチ画廊/シュトゥットガルト
1992
「量子芸術宣言」岡崎球子画廊/東京
1993
「ミメントゥ・モーライ 死を念え」山口県立美術館/山口
1995
「松澤宥〈第15回オマージュ瀧口修造〉」佐谷画廊/東京
1996
「量子芸術宣言 四」岡崎球子画廊/東京
1997
「スピリチュアリズムへ・松澤宥1954−1997」斉藤記念川口現代美術館/川口、埼玉

主なグループ展
1952
「第4回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1953
「第5回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1954
「第6回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1958
「第10回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1959
「第11回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1960
「第12回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
「超現実絵画の展開」東京国立近代美術館/東京
1961
「第13回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
「現代美術の実験」東京国立近代美術館/東京
1962
「第14回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1963
「第15回読売アンデパンダン展」東京都美術館/東京
1969
「第9回現代日本美術展」東京都美術館/東京
「美術という幻想の終焉展」信濃美術館/長野
「 現代美術の動向展」京都国立近代美術館/京都
「第2回現代の造形‘野外彫刻’69展」鴨川公園/京都
1970
第10回日本国際美術展 東京ビエンナーレ〈人間と物質〉東京都美術館
「現代日本美術展」グッゲンハイム美術館/ニューヨーク
1971
「Sonsbeek ’71 」オランダ
1972
「Documenta5」カッセル、ドイツ
1973
「京都ビエンナーレ」京都市美術館/京都
1974
「11th Avant Garde Festival」ショースタジアム/ニューヨーク
「Prospectiva ‘74」サンパウロ大学現代美術館/サンパウロ、ブラジル
1975
「第9回パリ・ビエンナーレ コレスポンデンス」
「The World Art History」キャンザスシティ、アメリカ
「Visual Poetry International」ユトレヒト、ロッテルダム、オランダ
「第一回ポストカード展」ニューヨーク大学/ニューヨーク
「70年代展」cayc画廊/ブエノスアイレス/ブラジル
1976
「ヴェニス・ビエンナーレ〈現代芸術の動向展〉部門」ヴェニス、イタリア
「シドニー・ビエンナーレ Recent International Forms in Art」Art Gallery of New South Wales/オーストラリア
1977
「サンパウロ・ビエンナーレ〈カタストロフィー・アート〉部門」サンパウロ、ブラジル
1979
「第一回国際視覚詩野外展」レシフェ、ブラジル
「マルチメディア・インターナショナル」サンパウロ大学/ブラジル
「メールアート・日本-イタリア」関西ドイツ文化センター/京都
1981
サンパウロ・ビエンナーレ〈ニュークリア〉部門/サンパウロ、ブラジル
「第2回国際素描展 自意識の迷路」ワルシャワ、ポーランド
「第2回国際視覚詩野外展」レシフェ、ブラジル
1982
「第一回現代芸術展 滝口修造と戦後美術」富山県立近代美術館/富山
「ARTEDER ’82 Musee Internacional de Obra Grafica 」ビルバオ美術館/スペイン
「国際メールアート展」ソウル国際美術センター/韓国
1983
「DADA in Japan: Japanische Avantgard 1920-1970」デュッセルドルフ美術館/ドイツ
「現代美術の動向Ⅱ〈1960年代-多様化への出発〉」東京都美術館/東京
「マンドラゴラ・アルテ・ポスタル」リスボン、ポルトガル
1984
「現代美術の動向〈1970年以降の美術-その国際性と独自性〉」東京都美術館/東京
1985
「第一回JAPAN牛窓国際芸術祭」牛窓/岡山
「Reconstrucion: Avant-garde Art in Japan 1945-1965」オクスフォード近代美術館/イギリス
1986
「Japon des avant-gardes 1910-1970」ポンビドーセンター/パリ
1987
「日本の祭」サンフランシスコ近代美術館/アメリカ
「時代精神建築」ヴォルフスブルグ市立美術館/ドイツ
1988
「ベルリン-東京 現代美術交流展」ベベルカ画廊/ベルリン
「白州・夏・フェスティバル」白州、山梨
1992
「70年代日本の前衛」ボローニャ市立近代美術館/イタリア
1993
対話展:「松澤宥+村岡三郎〈精神と物質〉」岡崎球子画廊/東京
1995
「戦後文化の軌跡 1945-95」目黒区立美術館/東京、広島市現代美術館/広島、兵庫県立美術館/兵庫、福岡県立美術館/福岡
1996
「日本の美術-よみがえる1964年」東京都現代美術館/東京
「弁天海港佐久島 開港パーティ」一色町佐久島/愛知
1999
「グローバル・コンセプチュアリズム:Point of Origin, 1950s-1980s」クイーンズランド美術館/ニューヨーク、アメリカ
「ART TODAY 1999 SANGAI」セゾン現代美術館/長野、セゾンアートプログラムギャラリー/東京
2001
「センチュリー・シティ:現代都市における芸術と文化」テートモダン/イギリス
2002
「傾く小屋 美術家たちの証言 since9.11」東京都現代美術館/東京
「未完の世紀:20世紀美術がのこすもの」東京国立近代美術館/東京
2003
「宥密法- YU MITSU HO -」豊田市美術館/愛知
2007
「宇宙御絵図」豊田市美術館/愛知
2014
「横浜トリエンナーレ2014 華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」新港ピア/神奈川